涙で終わった子が、涙を超えていった日。

今日、授業が終わったあと。
ひとりの生徒が、ぱっと明るい顔で駆け寄ってきて、

「先生、点数上がった!!」

そう言って、ニコッと笑った。

その瞬間、
胸の奥が熱くなって、
気づいたら涙が出ていた。

あの子が――
前回のテストで悔しくて、悔しくて、
授業後に校舎で人目も気にせず泣いていた姿。
その時の震える声も、涙の跡も、
全部、今でも鮮明に覚えているから。

夏の終わりからずっと、
毎日のように努力していた。
誰よりも静かに、真剣に、泥くさく。
毎日のようにタイムラプスで勉強報告をして、
分からない問題があれば何度も質問して、
それでも壁にぶつかって、
前回のテストでは報われなかった。

あんなに頑張ったのに、結果が出なくて。
あの日流した涙は、悔しさだけじゃなくて、
「もっとできるようになりたい」という叫びだった。

でも――
その子はそこで終わらなかった。

涙を流したあとも、
次の日も、その次の日も、
変わらず机に向かい続けた。

誰に見られていなくても、
誰に褒められなくても、
ただ、自分の未来のために。

そして今日。
あの笑顔で、「上がったよ」と報告してくれた。

もうね、本当に嬉しかった。
あの日の涙が、今日の笑顔につながったんだと思うと、
こっちの涙も勝手にこぼれた。

そして何よりすごいのは、
テストが終わった今でもその子は努力をやめていないこと。

結果を出したあとに気を抜かない。
ここに、その子の“本物さ”がある。

こんな生徒が校舎にいることを、
心から誇りに思っています。

もしこれを読んでいる君が、
今ちょっと壁にぶつかっていたとしても、
覚えておいてほしい。

涙は、終わりじゃない。

涙は、スタートになる。

悔しいなら、動けばいい。
動き続ければ、必ず変わる。

この記事を書いた人

陽生田中